八幡様のお社

 そこで、みんな、八幡様のお社の中にしまつてある、白ぬりの八幡丸を取りに行きました。そして、「あつ。」とおどろきました。

[#4字下げ]八[#「八」は中見出し] 八幡様のおくから、八幡丸を引出さうとすると、何か、白い物が動いてゐます。小さな、かはいゝはつかねずみです。 舟の中に、枯草や、わらくづで、すをつくつてゐるのです。どこからやつて来たのでせうか。いつの間に、こんなにたくさんふえたのでせうか。「かはいゝなあ。そつとしておかうよ。」「大きな金あみをこしらへてやらう。」 針金を買つて来て、それで、金あみをこしらへるのです。けれど、学校も始りました。今度は、上の学年に進むのですから、しつかり勉強しなければなりません。 もう、春の休もぢきです。「早く、春の休が来ればいゝ。」と、みんなは思ひました。今度の春の休は、うれしいことばかりです。 池は、きれいになつてゐます。金魚や、そのほかの魚が、たくさん泳いでゐます。亀も、もう、時々、水の上に出てゐます。 野原に植ゑた木は、元気に芽を出しかけてゐます。梅は、もう、つぼみを持つてゐます。桜も美しい花を咲かすでせう。桃や、栗や、柿《かき》や、みかんなど、そのうちには、一年中くだものがたえないやうになるでせう。 原つぱは、もう、スケートが出来ませんから、水をたやしてしまひました。 八幡様の屋根には、鳩小屋がたくさん出来ました。しらがのごいんきよが、鳩を入れて下さるはずです。 八幡丸の中には、まつ白いはつかねずみが元気です。早く金あみに入れてやりませう。

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