鳩もきゆうくつだらう

「まあ、いゝさ。あんな箱では、鳩もきゆうくつだらう。大きなのをこしらへるのだな。」 だけど、そればかりは、子供には出来ません。ごいんきよが、大工さんをたのんでくれて、八幡様のお堂ののきに、細長い大きなす箱をこしらへました。 鳩は、みんな仲よく、一しよに、箱から出たりはいつたりしてゐます。「これなら、鳩がいくらふえても、大ぢやうぶだな。」 子供たちは、うれしさうに鳩を見上げました。 それでも、あやしいことがまだつゞきました。 池のそばの草の上に、度々、どろや、ごみが捨ててあつて、そのへんが水にぬれてゐます。きれいにさらつた池ですが、なほ底には、いくらか、どろや、ごみが残つてゐました。草の上のは、その、どろや、ごみにちがひありません。 誰かゞ、池に、いたづらをしてゐるらしいのです。 心配になつて来ました。 だが、しらがのごいんきよは、のんきさうにいひました。「池が、まだ、すつかりきれいになつてゐないから、誰かゞ、池の底をさうぢしてくれてゐるのだらう。」「それなら、自分たちでしようや。」 子供たちは、さういつて、まだ、池の水はつめたいのに、はだかで飛びこんで、底のどろや、ごみをすくひ上げました。 池は、すつかりきれいになりました。 それまでは、よかつたのですが、ある時、池の大亀がゐなくなつたのに、子供たちは気がつきました。珍しい亀で、まだ見たことも、聞いたこともないほど大きな物です。池のぬしみたいな亀です。それがゐなくなつたとは大へんです。これには、しらがのごいんきよも顔をしかめました。 亀は、誰かにぬすまれたのでせうか。どこかへ行つたのでせうか。

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