まつ白なはつかねずみです

 八幡様にある、はつかねずみの金あみをぬすんで、はつかねずみもいくつか入れて、それを町に売りに行きました。「大きな金あみと、まつ白なはつかねずみです。安くまけておきます。買ひませんか。」 町の人たちは、笑ひました。「そんな物は、いらないよ。」「大きな金あみと、まつ白なはつかねずみですが。」「いらないよ。」 どこでも、ことわられました。 太十は、あちこち歩きまはり、しまひに、くたびれて、金あみと、はつかねずみを、よそののき下に捨ててしまひました。 それでも、太十は、あきらめませんでした。 今度は、鳩のす箱を、鳩がはいつてゐるまゝぬすんで、それを町に売りに行きました。「りつぱなす箱と、美しい鳩です。安くまけておきます。買ひませんか。」 町の人たちは、笑ひました。「そんな物は、いらないよ。」「りつぱなす箱と、美しい鳩ですが。」「いらないよ。」 どこでも、ことわられました。 太十は、あちこち歩きまはり、しまひに、くたびれてしまつて、す箱と、鳩を、また、よそののき下にすててしまひました。 太十も、今度は考へました。 八幡様の池には、いろ/\の魚の中に、大きな鯉もゐます。鯉なら売れさうです。 太十は、あみを持つて、鯉を取りに出かけました。ところが、どうしたものか、いつかう鯉が取れません。鯉どころか、ふなや、はやさへ一匹も取れません。 するうちに、太十は、よいことを聞きこみました。「町の、ある金持の人が、珍しい亀の子を、しきりに集めてゐる。」といふのです。

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