八幡池の大亀さん

「八幡池の大亀さん、もう、かへるのかね。」 ざるの中から答へました。「かへつた方が、よいさうだよ。」 川のふちまで来ると、また、声がしました。「八幡池の大亀さん、もう、かへるのかね。」 ざるの中から答へました。「きゆうくつな目にあつたから、かへつて、ゆつくり休むのだよ。」 太十は、もう、びつくりするどころか、すつかりおびえてしまつて、走つて村へかへりました。 それでも、まだ、心が休まりません。しらがのごいんきよにわけを話して、子供たちにもおわびをいひ、これからは、悪い心をあらためると、けつしんしたのです。     ○ 太十の話を聞いて、しらがのごいんきよはいひました。「そして、その大亀が口をきくといふのは、ほんたうかね。」「ほんたうですとも。わたくしが、はつきり、その声を聞きました。」「なるほど、それも面白い話だ。お前の良心が口をきいたか、大亀が口をきいたか、まあ、どちらでもよからう。」 それは、とにかく、大事な大亀が、もどつて来たのです。太十は、ごいんきよに、さしづされて、村の子供たちを呼集めて来ました。 子供たちは、をどり上つて喜びました。うれしさのあまり、太十をとがめる気持も起りませんでした。

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